犬の皮膚血管肉腫|犬の皮膚血管肉腫の特徴や治療について獣医師が解説!

#コラム #病気や予防の情報 #症例紹介
投稿日:2026.07.31 更新日:2026.08.04
上を見上げているゴールデンレトリーバー

「愛犬の皮膚に赤黒いしこりを見つけた」
「うちの子のしこりが少しずつ大きくなってきた」
このように感じて、気になっている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の皮膚にできる腫瘍のひとつに、血管肉腫(けっかんにくしゅ)という病気があります。

今回は犬の皮膚にできる血管肉腫の特徴や治療について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚にしこりを見つけたときにお役立てください。

獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
腫瘍科領域では、画像検査や病理検査などの診断方法が充実してきたことで、これまで見た目だけでは判断が難しかったしこりの性質も、客観的に評価できるようになりました。その結果、しこりが小さいうちに発見しやすくなり、早い段階で適切な治療につなげることで、愛犬の負担を抑えながら良好な経過を目指すことができるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは腫瘍科診療にも力を入れており、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。「しこりが急に大きくなってきた」「できものが増えてきた」「良性か悪性かはっきりさせたい」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛犬の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。

 📍 目次
▼ 犬の血管肉腫とは?
▼ 犬の皮膚血管肉腫の特徴
▼ 犬の皮膚血管肉腫の検査・診断
▼ 犬の皮膚血管肉腫の治療
▼ 犬の皮膚血管肉腫の予後
▼ まとめ

犬の血管肉腫とは?

犬の血管肉腫は、血管をつくっている細胞(血管内皮細胞)から発生する腫瘍です。
この腫瘍は、脾臓や心臓など体の内側にできることが多いですが、皮膚や皮下にできることもあります。

皮膚にできる血管肉腫は、日光の影響が関わっていることもあると言われています。
体の表面にできるため、内臓にできるものと比べて早い段階で気づきやすいのも特徴です。

犬の皮膚血管肉腫の特徴

犬の皮膚にできる血管肉腫は、毛が薄く色素の少ない部分に発生しやすいです。
とくに血管肉腫が発生しやすい体の部位は、肢や体幹だと言われています。

またこの腫瘍は、短毛で淡い毛色の犬によく見られることが特徴です。
とくに以下の犬種での発生が多いと言われています。

  • ジャーマン・シェパード
  • ゴールデン・レトリバー
  • ビーグル
  • イングリッシュ・ブルドッグ

また、皮膚血管肉腫は発生する場所の深さによって以下の2つに分かれます。

  • 真皮にできるもの
  • 皮下組織にできるもの

それぞれについて解説します。

真皮にできるもの

真皮にできる血管肉腫は、真皮という皮膚の浅い層にできるタイプの腫瘍です。
おなかや内ももなど、毛が薄く日光が当たりやすい部分にできやすい傾向があります。
真皮にできる血管肉腫は、青紫色から赤黒色で、大きさは4cm以下にとどまることが多いのも特徴です。

皮下組織にできるもの

皮下組織にできる血管肉腫は、皮膚のより深い層にできるタイプの腫瘍です。
このタイプの血管肉腫は深い場所にできるため、見た目だけでは範囲がわかりにくいのも特徴です。
皮下組織にできる血管肉腫は、暗赤色から黒色で、大きさは10cmにも達することがあります。

横を見ているジャーマンシェパード

犬の皮膚血管肉腫の検査・診断

犬の皮膚血管肉腫の診断では、しこりの性質を調べる検査と、転移を調べる検査を組み合わせて行います。
主におこなう検査として、以下の3つが挙げられます。

  • 細胞診
  • 病理検査
  • 画像検査

細胞診

細胞診は、しこりに細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。
体への負担が少なく、しこりの性質を確かめる最初の手がかりになります。
また細胞診によって、血管肉腫以外の特徴的な悪性腫瘍を診断から除外することも非常に大切です。

ただし血管肉腫は血液が豊富な腫瘍であり、採取した細胞に血液が混じって判断が難しいことも多いです。
このため、確定診断のためには病理検査による判断をしてもらう必要があります。

病理検査

病理検査は、しこりの組織を採取して顕微鏡で詳しく調べ、血管肉腫かどうかを確定するために必要な検査です。
また病理検査は、腫瘍を手術で取り切れているかどうかの確認にも役立ちます。

画像検査

画像検査は、腫瘍がほかの場所へ転移しているかどうかを調べるための検査です。
血管肉腫は肺や内臓に転移することがあるため、レントゲン検査やCT検査などで全身を確認することが大切です。
腫瘍の転移の有無を知ることは、治療方針を決めるうえで大切な情報になります。

こちらを見ているイングリッシュブルドッグ

犬の皮膚血管肉腫の治療

犬の皮膚血管肉腫は、腫瘍のできる深さによって治療方針が異なります。
主な治療として、外科切除と化学療法があります。

外科切除

外科切除は、しこりを手術で取り除く治療で、皮膚血管肉腫の治療の基本となります。
再発を防ぐために、しこりの外側の正常な皮膚まで広く切除することが一般的です。
真皮の中だけにとどまっている場合は、切除することで犬が長く生存できることもあります。

化学療法

化学療法は、抗がん剤を使って腫瘍細胞の増殖や転移を抑える治療です。
皮下組織にまで広がっている血管肉腫は外科切除だけでは再発や転移が見られるため、化学療法と組み合わせて治療することが大切です。

犬の皮膚血管肉腫の予後

犬の皮膚血管肉腫の予後は、腫瘍のできる深さによって異なります。
真皮にできるタイプの血管肉腫は比較的予後が良く、外科切除によって取り切ることができれば長期間生存できることがあります。

一方で、皮下組織にできるタイプの血管肉腫は外科切除だけでは再発や転移の可能性が高いです。
このため外科切除と化学療法を組み合わせた治療が行われますが、それでも生存期間は1年にも満たないことがほとんどです。

まとめ

犬の皮膚血管肉腫は、皮膚や皮下にできる腫瘍で、赤黒いしこりや皮膚の下のふくらみとして現れます。
真皮にとどまるものは比較的良好な経過が期待でき、皮下組織まで広がるものは全身への対応も必要です。
早い段階で気づいて検査を受けることが、愛犬の負担の少ない治療につながります。
愛犬の皮膚にしこりを見つけたり、しこりが大きくなってきたりしたときは、早めに動物病院に相談しましょう。

サーカス動物病院グループでは腫瘍科診療にも力を入れており、皮膚のしこりや血管肉腫についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬の皮膚のしこりが気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。

🎪サーカス動物病院グループの腫瘍科の詳細はコチラからご覧いただけます。

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