犬の毛が抜けて元気もない|治療とスキンケアで脱毛が改善した犬の甲状腺機能低下症の1例

#甲状腺機能低下症 #脱毛
2026.07.27

「うちの子の毛が薄くなってきた」
「最近、元気も食欲も落ちてきた気がする」
このように感じて、心配されている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬の被毛が抜ける病気のひとつに、甲状腺機能低下症があります。
今回は、治療とスキンケアによって被毛の状態と元気や食欲が大きく改善した犬の甲状腺機能低下症の1例をご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の毛や元気の変化に気づいたときに役立ててください。

 📍 目次
▼ 症例紹介
▼ 実際の症例
▼ 犬の甲状腺機能低下症とは
▼ 犬の甲状腺機能低下症の症状
▼ 犬の甲状腺機能低下症の検査・診断
▼ 犬の甲状腺機能低下症の検査・診断
▼ まとめ
▼ 獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください

症例紹介

動物種
品種トイプードル
主な皮膚症状脱毛、被毛のツヤのなさ、ラットテイル(しっぽの脱毛)
来院理由被毛が抜け、元気や食欲も低下したため
診断甲状腺機能低下症
治療方針甲状腺ホルモンの補充とスキンケア
治療期間約2か月
治療結果被毛にツヤが戻って生えそろい、元気・食欲も回復した

実際の症例

今回ご紹介する症例は、被毛が抜けて元気・食欲も落ちてきたというトイプードルです。

来院理由

この症例は、被毛が薄くなってきたことに加えて、元気と食欲も少しずつ低下してきたために来院されました。
飼い主様は当初、「年齢のせいかもしれない」と感じておられたそうです。
しかし、愛犬の脱毛や元気・食欲も低下したことから心配になり、皮膚科での相談を希望されました。

初診時の状態

初診時、この症例には以下の症状が見られました。

  • 被毛のツヤのなさ
  • ラットテイル
  • 元気や食欲の低下

被毛は全体的にパサパサとしてツヤがなく、皮膚はカサカサと乾いた状態でした。
ラットテイルは、しっぽの被毛が抜けてネズミのしっぽのように見える状態を指し、甲状腺機能低下症の特徴的な症状のひとつです。

検査・診断結果

この症例は皮膚の症状に加えて、元気や食欲の低下もあったため、皮膚科の検査だけでなく、血液検査もあわせて行いました。
犬の皮膚に現れる異常は、内臓の異常のサインであることも珍しくないため、皮膚だけでなく全身を見ることが大切です。

この症例は、血液検査によって甲状腺ホルモンの値が基準よりも低いことが確認されました。
これらの結果と全身の症状から、この症例は甲状腺機能低下症と診断されました。

治療方針

治療方針として、不足している甲状腺ホルモンを補う内科治療とスキンケアを行うことにしました。
甲状腺ホルモンの補充は、低下したホルモンを経口摂取することで補い、全身の代謝を改善させる治療です。
また、乾燥してバリア機能が低下した皮膚を守るために、スキンケアも並行して行いました。

治療後の経過

治療を始めて1か月後には、被毛にツヤが出始め、毛色も少しずつ濃く見えるようになってきました。
皮膚の乾燥もやわらぎ、全身の毛量が回復に向かっていることが、写真からもわかります。

治療2か月後には、被毛がしっかりと生えそろい、来院時とは見違えるほど改善しました。
飼い主様も、元気と食欲が戻り、表情も明るくなった愛犬を見て、「若々しくなった」と喜んでおられました。

今回のように、愛犬に皮膚と被毛の症状があるだけでなく、元気や食欲も低下しているときは、犬の甲状腺機能低下症が原因である場合があります。
ここからは、犬の甲状腺機能低下症について解説します。

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犬の甲状腺機能低下症とは

犬の甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が不足する病気です。
甲状腺ホルモンは犬の全身の代謝を調整する働きを持っており、不足すると全身の代謝機能が低下してしまいます。
この病気は、中高齢の犬で発症することが多く、皮膚や被毛だけでなく、全身に変化が現れることが多いです。

犬の甲状腺機能低下症の症状

犬の甲状腺機能低下症では、皮膚・被毛の症状と全身の症状の両方が現れることがあります。
飼い主様が日常で気づきやすい変化を中心に、それぞれ見ていきましょう。

皮膚と被毛の症状

皮膚と被毛の症状は、犬の甲状腺機能低下症で飼い主様が最初に気づきやすいサインです。

  • 脱毛
  • ラットテイル
  • 被毛のツヤのなさ
  • 皮膚の乾燥

これらの症状は甲状腺機能低下症に特徴的ですが、他の皮膚病で見られる症状でもあるため、獣医師による総合的な判断が必要です。

全身の症状

全身の症状は、犬の甲状腺機能低下症によって代謝が低下することで現れる変化です。
飼い主様が、愛犬を観察していて気づくことができる症状は、以下が挙げられます。

  • 元気や食欲が落ちる
  • 寒がるようになる
  • 体重が増えやすくなる

こうした変化は「年のせいかな?」と感じられやすいため、見過ごされてしまうことも少なくありません。

犬の甲状腺機能低下症の検査・診断

犬の甲状腺機能低下症の検査・診断では、血液検査がとても重要です。
犬に脱毛などの皮膚症状や、元気や食欲の低下などの全身症状があって、甲状腺機能低下症が疑われるときは以下のホルモン値を測定します。

  • 甲状腺ホルモン
    分泌が減っている場合は、甲状腺機能低下症が疑われる。
  • 甲状腺刺激ホルモン
    甲状腺ホルモンを分泌するように指示するホルモンであり、分泌が増えている場合は、甲状腺機能低下症が疑われる。

加えて、血液検査の結果として以下のような異常が見られると、より甲状腺機能低下症が疑わしくなります。

  • 軽度の貧血
  • 中性脂肪値の上昇
  • コレステロール値の上昇

このように、甲状腺機能低下症の診断では皮膚や被毛の状態だけではなく、ホルモンの数値や全身の症状をあわせた総合的な判断が大切です。

犬の甲状腺機能低下症の治療法

犬の甲状腺機能低下症の治療は、不足した甲状腺ホルモンを補う内科治療が基本です。
ホルモンの補充によって全身の代謝が改善し、皮膚や全身の症状の改善が期待できます。

一般的に、全身症状の改善には1か月、皮膚症状の改善には2〜3か月ほどの時間がかかることが多いです。
また乾燥した皮膚を守るスキンケアを併用することで、皮膚や被毛の症状の改善をより後押しできる場合もあります。

犬の甲状腺機能低下症の治療は生涯にわたって行う必要があり、定期的に獣医師による診察を受けることが大切です。

まとめ

犬の甲状腺機能低下症は、毛が抜けたり、元気や食欲が落ちたりといった変化が現れる病気です。
今回の症例のように、内科治療とスキンケアを組み合わせることで、被毛のコンディションや全身の状態は改善していくことがほとんどです。
愛犬の毛が薄くなってきたり、元気がなくなったりしたときは、早めに動物病院を受診しましょう。

サーカス動物病院グループでは皮膚科診療にも力を入れており、ホルモンが関わる皮膚の病気についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬の皮膚や被毛、元気の変化が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。

獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください

皮膚科領域には、国際的な治療ガイドラインが存在するものもあり、治療の選択肢も年々広がっています。 以前はコントロールが難しかった症例でも、最新の知見に基づいた適切なスキンケアや薬の組み合わせによって、皮膚や被毛の状態を大幅に改善させ、愛犬が穏やかに過ごせる状態を取り戻すことができる可能性が十分にあります。

多くの動物病院は「総合科」としてあらゆる診療科を網羅しており、何でも相談できるという素晴らしいメリットがあります。 一方で、獣医療の高度化に伴い、すべての科において最新の専門性を維持し続けることが難しいという側面も持ち合わせています。

サーカス動物病院グループには、アジア獣医皮膚科専門医が2名在籍し、専門性の高い皮膚科診療を行っています。「長年治療しているのに改善しない」「何が原因かはっきりさせたい」「スキンケアの方法を見直したい」とお悩みの飼い主様は、決して一人で抱え込まず、ぜひ当動物病院グループにご相談ください。

愛犬の皮膚の状態に合わせた最適なサポートを、一緒に考えていきましょう。

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