進行した歯周病に対する、
顕微鏡を用いた歯周外科という選択肢
「歯周病が進んでいるので抜歯しましょう」そう告げられ、戸惑った経験はありませんか。
歯科医療の進歩により、現在では一定の条件を満たせば、失われかけた歯を残し、機能を回復させる治療=歯周外科治療が可能になっています。
当院では、顕微鏡を用いた精密な歯周外科処置によって、抜歯以外の選択肢をご家族の方へご提案しています。
歯周病はなぜ「治らない」と言われてきたのか
歯周病は、歯ぐきの炎症だけにとどまる病気ではありません。進行すると、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が破壊され、歯のぐらつきや脱落、口腔内からの感染拡大を引き起こします。
一度失われた歯槽骨は、放置していて自然に戻ることはありません。そのため従来の歯科では、進行した歯周病に対しては「抜歯」が標準的な考えでした。
進行が進んだ歯周病で見られる症状
- 口臭が強くなった
- 歯がぐらつく
- 歯ぐきから出血する
- 硬いものを噛みたがらない
- 食事のスピードが遅くなった
- 顔の片側を気にする、こすりつける
- くしゃみや鼻水が続く
犬猫の歯周外科とは
歯周外科とは、破壊された歯周組織を回復・再生させる治療です。
具体的には、感染組織の除去、歯の根の表面(根面)の清掃、必要に応じて再生療法を行い、歯を支える環境を再構築します。
歯周外科治療のメリット
歯周外科治療には次のようなメリットがあります。
- 抜歯を避けて、その子の歯を残せる可能性があります
- 歯周病の原因をしっかり取り除くことで、再発しにくくなります
- 歯ぐきの腫れや「出血」が改善し、痛みが緩和され、ご自宅での歯みがきがしやすくなります
他院で抜歯を勧められた場合も、まずは一度ご相談ください。歯の状態・骨欠損の範囲・全身状態を総合的に評価したうえで、最適な治療方針をご提案します。
サーカス動物病院の歯周外科治療
当院では、病例の状況に応じて歯科診療に精通した獣医師が以下の処置を組み合わせて行います。すべての処置は、安全管理を徹底した全身麻酔下で、顕微鏡を用いて精密に実施します。
歯肉剥離掻爬術(フラップ手術)
歯ぐきを部分的に切開して反転させ、歯根の表面と歯周ポケットの奥深くに付着した歯石・感染組織を、直視下で徹底的に除去する処置です。通常の歯石除去(スケーリング)では到達できない深部の汚染を取り除き、歯根面を滑らかに整えることで、歯周組織の再付着を促します。
骨補填材の応用
歯周病によって失われた骨の量を補うために、骨補填材(人工骨)を欠損部位に充填する処置です。補填材は時間の経過とともに、その子自身の骨に置き換わっていく性質があります。
骨欠損が一定の形状(垂直性骨欠損など)に収まっている病例で、特に良好な結果が得られやすい処置です。フラップ手術と組み合わせて行うことで、より効果的に歯周組織の回復を図ります。
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)下での精密処置
歯周外科は、ミリ単位、時にはサブミリ単位の精度が求められる繊細な処置です。当院では歯科用顕微鏡を導入し、肉眼の数倍〜数十倍の視野で処置を行います。
これにより、微細な歯石や感染組織を見逃さず除去できること、健常な歯周組織を最大限温存できること、術後の治癒に大きく影響する縫合を精密に行えることなど、より低侵で精密な処置を行うために役立ちます。
歯科用顕微鏡での視野:2.8倍〜25.6倍の拡大視野で処置を実施しています。
歯周外科が適応になるケース
歯周外科治療はすべての病例に適応できるわけではありません。歯周組織や骨欠損の状況、全身状況、ご家庭でのケア体制などを総合的に判断したうえで、適応を慎重に見極めます。
適応になるケース
- 限局した歯周病
- 骨欠損が局所的である
- 歯を残したいという希望がある
- 歯を残すためのデンタルケアが可能である
適応にならないケース
- 骨欠損が広範囲である
- 歯の動揺が強い
- 感染が広範囲に及んでいる
- 麻酔をかけることにリスクが高い
- 日常のデンタルケアが困難な場合
「抜歯」が最善の選択になることもあります
感染が広範囲に及んでいる場合や、温存することでかえってその子の生活の質を下げてしまう場合は、抜歯のほうが結果として良い予後につながることがあります。当院では、その子にとって本当に良い選択は何かを科学的根拠に基づいてご提案します。
歯周病治療に悩まれているご家族の方へ
歯周病治療には「ただ一つの正解」はありません。同じように見える病例でも、その子のライフスタイル、年齢、性格、全身状況、そしてご自宅でのケア体制によって、最善の選択は変わります。
ある子にとっては抜歯が最善で、別の子にとっては歯を残すことで生活の質が大きく上がるケースがたくさんあります。
当院では、科学的根拠と一頭一頭の個別の状況に基づいて、ご家族と愛犬愛猫にとって最良の選択肢をご提案いたします。
歯周外科対応病院
歯科顕微鏡を用いた歯周外科はサーカス動物病院 藤沢菖蒲沢院の専門歯科で行っています。ご予約はWEB・またはお電話で受け付けています。
専門歯科診療担当獣医師
今井琢磨
いまい たくま
歯科診療部長として、歯周外科をはじめとする専門的な歯科処置を担当しています。顕微鏡を用いた処置で、歯の温存を目指した治療を行っています。
- 資格
- 日本小動物歯科研究会歯科技能LV4修了
動物麻酔技能基礎認定医 - 所属学会
- 日本獣医歯科学会/日本小動物歯科研究会/日本獣医麻酔外科学会
平塚彰吾
ひらつか しょうご
開院から現在に至るまで、歯周病に悩むたくさんのわんちゃん、猫ちゃんを治療してきました。ご家族とのコミュニケーションを第一にしながら、その子やご家族の状況に合った、納得感のある治療を提供して参ります。
- 資格
- 国際小動物歯科口腔外科認定医(GPCert)
日本小動物歯科研究会歯科技能LV4修了
動物麻酔技能基礎認定医 - 所属学会
- 日本獣医歯科学会/日本小動物歯科研究会/日本獣医麻酔外科学会
よくある質問
Q. 他院で抜歯が必要と言われました。歯周外科で残せる可能性はありますか?
A. すべての病例で歯を残せるわけではありませんが、歯・歯ぐき・歯を支える骨の状況によっては、抜歯を回避できる可能性は十分にあります。まずはご相談・検査にお越しください。セカンドオピニオンとしてのご利用も歓迎しています。検査の結果、万が一歯を残すことが難しい場合でも、その子にとって一番良い治療方針をご提案いたします。
Q. 治療後、すぐに普通通りに食事できますか?
A. 処置の規模によりますが、術後しばらくはふやかしたフードやらかいウェットフードに切り替えていただきます。回復の経過に合わせて、少しずつ通常の食事に戻していきます。詳しい術後の食事管理については、処置内容に合わせて個別にご案内いたします。
Q. 治療後、家庭ではどのようなケアが必要ですか?
A. 歯周外科治療の効果を長く維持するためには、ご家庭での日々のデンタルケアが欠かせません。歯みがき、デンタルシートなど、その子の性格や受け入れやすさに合わせて、無理のない方法をご提案します。最初はうまくできなくても大丈夫です。少しずつ慣らしていく方法を、一緒に考えていきましょう。また、歯周病を悪化させる原因を取り除くことも効果的です。診察の際にその子の生活習慣もお伺いし、改善できる点があればあわせてご提案させていただきます。
進行した歯周病でも、条件によっては歯を残せる可能性があります。
他院で抜歯と診断された方も、セカンドオピニオンを含めてお気軽にご相談ください。
藤沢菖蒲沢院Web予約(専門歯科:常設 )
※専門歯科診療(歯周外科)は藤沢菖蒲沢院で対応しています。
横浜ゆめが丘院Web予約(専門歯科:毎週土曜日
担当今井)
※横浜ゆめが丘院での専門歯科診療は2026年7月1日より開始予定です。