「薬を飲んでいるのにアトピーの痒みが良くならない」
「最近、愛犬の体から変な臭いがする」
「皮膚がベタベタしている気がする」
このようなお悩みを抱える犬の飼い主様も多いのではないでしょうか。
犬アトピー性皮膚炎は痒みを伴う皮膚疾患で、マラセチアという真菌による皮膚炎を併発することがあります。
マラセチア皮膚炎を併発すると症状が悪化するため、早期の発見と適切な治療が必要です。
今回は、犬アトピー性皮膚炎とマラセチア皮膚炎を併発したトイ・プードルが、治療方針の変更によって大きく回復した症例について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚トラブルの改善にお役立てください。

犬アトピー性皮膚炎とは
犬アトピー性皮膚炎は、環境中のアレルゲンに対する過敏反応によって引き起こされる慢性的な皮膚疾患です。
多くの場合、3歳以下の若い時期から症状が現れ、強い痒みを伴う皮膚炎が繰り返し起こります。
完治が難しいため、症状をコントロールしながら長期的にうまく付き合っていくことが大切です。
遺伝的に以下の犬種で発症しやすいことが知られています。
- 柴犬
- シーズー
- ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ゴールデン・レトリバー
- トイ・プードル
これらの犬種を飼育されている飼い主様は、若い時期から皮膚の状態に注意しておくことをおすすめします。
犬アトピー性皮膚炎に併発するマラセチア皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎に併発するマラセチア皮膚炎は、症状を悪化させる厄介なトラブルです。
犬アトピー性皮膚炎になると、なぜマラセチア皮膚炎を併発しやすいのでしょうか。
併発の原因と症状について解説します。
マラセチアが増える原因
犬アトピー性皮膚炎の犬では皮膚の炎症に伴って、皮脂の分泌が過剰になることがあります。
マラセチアは皮脂を栄養源として増えるため、皮脂分泌が増えた皮膚環境では異常増殖しやすくなります。
さらに、増殖したマラセチアが皮膚に炎症を引き起こし、その炎症がまた皮脂分泌を促すという悪循環が生まれます。
犬アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能も低下しているため、この悪循環に陥りやすいことが併発の大きな原因です。
マラセチア皮膚炎の症状
マラセチア皮膚炎の症状は、強い痒みや皮膚のベタつきが特徴的です。
また、マラセチアが増殖すると皮膚から酵母のような独特の臭いが発生します。
飼い主様が「最近、愛犬の体臭が気になる」と感じたら、マラセチア皮膚炎を疑うサインかもしれません。

犬アトピー性皮膚炎とマラセチア皮膚炎の治療
犬アトピー性皮膚炎とマラセチア皮膚炎が併発した場合、治療は薬物療法と皮脂をコントロールするスキンケアを組み合わせて行われます。
薬物療法
症状に応じて、複数の治療薬が使われます。
- ステロイド剤
- 免疫抑制剤(シクロスポリン、オクラシチニブなど)
- 抗真菌薬
ステロイド剤は強い炎症がある場合に効果的です。
ただし、長期使用では副作用に注意が必要とされ、獣医師の指導のもと適切に使用することが大切です。
免疫抑制剤はアレルゲンに対する過度な反応を抑え、痒みを抑える効果が期待できます。
ステロイドと比べると長期的な管理に使用されることが多い薬です。
免疫抑制剤は種類によって副作用の強さや併発疾患への期待効果が異なるため、症状に合わせて獣医師に適切に使用判断してもらうことが重要です。
抗真菌薬はマラセチアの数を減らすために用いられます。
外用薬と内服薬があり、症状に合わせて適切に使い分けられます。
皮脂をコントロールするスキンケア
マラセチアの増殖を防ぐためには、薬物療法に加えてスキンケアによる皮脂管理が欠かせません。
- クレンジングオイル
- 抗菌シャンプー
- セラミド保湿剤
クレンジングオイルは、過剰な皮脂を効果的に取り除くことができます。
過剰な皮脂はマラセチアの増殖原因となるため、クレンジングで皮脂を落としてからシャンプーをすることが効果的です。
抗菌シャンプーは週1〜2回程度使用し、皮膚表面の汚れやマラセチアを洗い流します。
犬アトピー性皮膚炎では皮膚がデリケートな状態のため、獣医師の判断で低刺激シャンプーが推奨されることもあります。
シャンプー後は皮膚が乾燥しやすいため、セラミド保湿剤を使用して皮膚バリア機能を保つことも大切です。
実際の症例
今回紹介する症例は2歳のトイ・プードルです。
来院時の状況
「犬アトピー性皮膚炎と診断され治療を受けていたが、痒みが続いている」という主訴で来院されました。
診察室でも頻繁に体を掻いたり、前足を舐めたりする様子が確認されました。
他院で痒みを抑える内服薬(オクラシチニブ)による治療を受けていましたが、症状の改善はあまり見られませんでした。
飼い主様によると、最近になって体臭も気になるとのことでした。
診断内容とゴール設定
皮膚検査を行ったところ、マラセチアが多量に検出されました。
体臭の原因は、過剰な皮脂とマラセチアの増殖によるものと考えられます。
それまで服用していたアポキルには痒みを抑える効果はありますが、皮脂の過剰分泌を抑える効果は期待できませんでした。
そのため、マラセチアに対しては効果が不十分だったと考え、治療薬の変更を検討しました。
治療内容
飼い主様と相談の上、治療方針を変更しました。
皮脂のコントロールを目的として、クレンジングオイルによるスキンケアを開始しました。内服薬も皮脂のコントロール作用が期待できるものに変更して2ヵ月ほど継続し、様子を見ることとしました。

治療経過
治療開始から2ヶ月後、皮膚の症状は徐々に回復しました。
(左:初診時 右:治療2ヶ月後)
痒みがかなり和らぎ、毛も伸びてきました。
特に舐め動作が止まらなかった前足の症状が劇的に改善され、首の下のベタつきと痒みも大幅に軽減されました。
薬の服用回数も毎日から3日に1回へ減らすことができました。
飼い主様が気にされていた体臭も改善され、とても喜ばれていました。
現在も定期的なスキンケアを継続しながら、良好な皮膚状態を維持しています。
まとめ
今回は、犬アトピー性皮膚炎とマラセチア皮膚炎を併発した症例について解説しました。
犬アトピー性皮膚炎の治療では、痒みを抑える薬物療法だけでなく、併発するトラブルにも注意を払うことが重要です。
特にマラセチア皮膚炎を併発している場合は、皮脂をコントロールする観点が欠かせません。当院では、それぞれの治療薬の特性を十分に理解し、症状に応じた最適な治療プランをご提案しています。
愛犬の皮膚トラブルでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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