脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発した犬の一例|マラセチアとの関係性とは?

#アトピー #脂漏症 #かゆみ #ベタつき
2026.03.21

「愛犬の皮膚がベタベタしていて、体を掻き続けている」
「シャンプーしてもすぐに独特のにおいがする」
「お腹や脇の下が赤く、毛が薄くなってきた」
このような症状に心当たりはありませんか。

これらの症状は、脂漏性皮膚炎や犬アトピー性皮膚炎が原因かもしれません。
特に2つの皮膚疾患が同時に起こると皮膚の常在菌が異常に増殖し、さらに症状を悪化させます。

今回は脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発した症例をもとに、症状の背景や治療の考え方について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚トラブルの理解にお役立てください。

 📍 目次
 ▼ 脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎について
 ▼ マラセチアとの関係
 ▼ 治療と管理
▼ 実際の症例:6歳シー・ズーの改善例
▼ まとめ

脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎について

脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎は、それぞれ異なる皮膚疾患です。

この2つが併発すると「皮脂の過剰分泌」と「皮膚バリア機能の低下」が同時に起こり、皮膚の状態が相乗的に悪化します。
まずは、それぞれの疾患の特徴を整理します。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が乱れることで皮膚がベタベタしたりフケが増えたりする皮膚疾患です。

脂漏性皮膚炎には、皮脂が過剰に分泌される「油性脂漏症」と皮膚が乾燥してフケが増える「乾性脂漏症」があります。
犬で多く見られるのは油性脂漏症です。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎は、ハウスダストや花粉などの環境中のアレルゲンに対し、犬の免疫機構が過剰に反応することで起こる皮膚疾患です。
この疾患は遺伝的な体質が関係しているとされており、若い頃から慢性的な痒みに悩まされることが多い病気です。

こちらを見ているシーズー

マラセチアとの関係

脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発すると、常在菌であるマラセチア(カビの一種)が異常に増殖しやすくなり、症状を悪化させます。
脂漏性皮膚炎では皮脂の分泌量が増えるため、皮脂を栄養源とするマラセチアが増殖しやすい状態となります。

一方、犬アトピー性皮膚炎には皮膚のバリア機能が弱くなり、常在菌の影響を受けやすくなるという特徴があります。

脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発すると「皮脂が過剰」+「バリア機能の低下」という状態になり、マラセチアが爆発的に増殖します。
増殖したマラセチアは皮脂をエサに刺激物を排出し、さらに強い痒みと炎症を引き起こします。

複数の皮膚疾患が悪い影響を与え合うことで、病状が長期化してしまうケースも少なくありません。

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治療と管理

脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発し、マラセチアが増殖している場合には、それぞれの疾患に対して複合的なアプローチが必要です。

薬物療法

マラセチア性皮膚炎では、抗真菌薬による治療が基本となります。
症状の程度や部位に応じて、外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)が選択されます。

犬アトピー性皮膚炎には、ステロイドも有効です。
皮膚の肥厚や重度の外耳炎などが認められる場合には、炎症を速やかに落ち着かせるため、ステロイドの外用薬が使用されることもあります。

管理療法(スキンケア)

薬物療法と並行して、日常的なスキンケアによる管理療法も重要です。

脂漏性皮膚炎では皮脂の分泌が多くなるため、クレンジングオイルなどを用いて余分な皮脂を除去し、皮膚環境を整える必要があります。

また、抗菌作用のあるシャンプーを週2回程度使用し、マラセチアの増殖を抑えて皮膚を清潔に保つことが大切です。
犬アトピー性皮膚炎を併発している犬では皮膚のバリア機能が弱くなっているため、低刺激性のシャンプーを選択するなど、皮膚への負担をできるだけ抑える工夫が必要となります。

シャンプー後には、セラミド配合の保湿剤を使用し、皮膚の乾燥やバリア機能の低下を防ぐことが有効です。

これらのケアを適切に組み合わせることで、脂漏性皮膚炎、犬アトピー性皮膚炎、マラセチア性皮膚炎のすべてに対応し、症状の改善を目指します。
治療は数ヶ月から数年の単位で、長期的な管理が必要になることもあります。

実際の症例:6歳シー・ズーの改善例

今回ご紹介する症例は、6歳のシー・ズーです。
「数ヶ月前から皮膚のべたつきと激しい痒みが徐々に悪化している」とのことで来院されました。
これまで特別な治療は行っておらず、最近になって症状が急に悪化し、犬が体を掻く頻度が増えてきたとのことでした。
診察すると、お腹や内股などが赤く、毛はボソボソと脂っぽくなっており、全体的に脱毛も確認されました。

皮膚検査を行ったところマラセチアが多数検出されました。

皮膚にベタつきと赤みのあるシー・ズー

診断内容とゴール設定

シー・ズーは、脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎の遺伝的リスクを持った犬種です。

皮膚の状態やこれまでの経過から、脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発していると判断しました。
さらに、それらを基礎疾患としてマラセチアが増殖し、皮膚の状態をさらに悪化させていると結論付けました。

この症例では、まず現在起こっている痒みと赤みをできる限り改善することをゴールとしました。

治療内容

治療としては、マラセチアを抗真菌剤で減らしつつ、脂漏性皮膚炎・犬アトピー性皮膚炎の管理療法も併用して対応しました。

脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎が併発している場合、どちらか一方だけを治療しても改善と悪化を繰り返しやすくなります。
この症例でも、マラセチアへの対処と皮膚のコンディションを整える治療を並行して進めました。

治療し改善した皮膚の状態のシー・ズー

治療経過

治療開始から2ヶ月後には皮膚のベタつきが大幅に改善し、毛も健康的なつやになりました。
痒みや赤みもほとんどなくなり、犬自身も快適に過ごせるようになりました。

この症例のように脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発し、マラセチアが増殖している場合でも、適切な診断と複合的な治療管理を行うことで、症状を大きく改善することができます。

まとめ

今回は脂漏性皮膚炎と犬アトピー性皮膚炎が併発した犬の症例について解説しました。

この2つの疾患が同時に起こると、マラセチアという常在菌が異常に増殖し、強い痒みと炎症を引き起こします。
しかし、適切な治療と管理療法によって、症状は大きく改善できます。

皮膚のベタつきや痒みが気になる場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。当院では犬の皮膚トラブルの診療に力を入れています。
愛犬の皮膚の状態でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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