柴犬の皮膚の黒色腫の一例|実際の症例をもとに症状や治療について解説

#黒色腫
2026.03.14

犬の黒色腫(こくしょくしゅ)は比較的よく見られる皮膚の腫瘍です。

「愛犬の皮膚に黒いシミのようなものがある」
「トリミングサロンで皮膚の異常を指摘された」
「これってただのホクロ?それとも病気?」

このようなご心配を抱えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

犬の皮膚にできる黒いシミやできものには様々なケースがあり、見た目だけでは獣医師でも判断が難しい場合があります。
特に黒色腫と呼ばれる腫瘍は、切除して病理組織検査をすることが推奨されており、適切な診断が重要です。

今回は黒色腫について、実際の症例を交えながら解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の健康管理にお役立てください。

 📍 目次
 ▼ 黒色腫とは
 ▼ 黒色腫の見た目と特徴
 ▼ 黒色腫の診断
▼ 黒色腫の治療
▼ 実際の症例
▼ まとめ
歩いている柴犬

黒色腫とは

黒色腫とは皮膚でメラニン色素を産生するメラノサイト(メラニン細胞)が腫瘍化したものです。

黒色腫には良性のものと悪性のものがあり、良性のものは「メラノサイトーマ」や「良性黒色腫」、悪性のものは「悪性黒色腫」や「メラノーマ」と呼ばれます。

毛の生えている皮膚に発生する黒色腫のうち、約85%は良性であることがわかっています。
ただし、見た目だけでは良性か悪性かを判断することは困難であり、良性が多いからといって安易に様子を見るのはおすすめできません。

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黒色腫の見た目と特徴

黒色腫は見た目が非常に多様で、見た目だけで良性・悪性を判断することはできません。
具体的に形や色などの特徴についてご紹介します。

黒色腫の形は「小さなシミのようなもの」から「急速に大きくなる腫瘤(塊)」まで幅広く存在します。
他の腫瘍では形のいびつさが悪性の基準となることもありますが、黒色腫の場合は一概には判断できません。

黒色腫は色も様々です。
黒色腫という名前から黒い色を想像されるかもしれませんが、約30%の黒色腫は「黒くない」という特徴があります。
茶色や灰色、ときには無色の症例もあります。

複数箇所に発生することも

黒色腫は良性であっても複数の場所に同時に発生することがあります。
一つ見つかった場合は他の部位も注意深く経過観察することが大切です。

横を向いている黒い柴犬

黒色腫の診断

黒色腫の確定診断には、切除生検による病理組織検査が必要です。
切除生検とは、麻酔をかけて病変部を外科的に切除し、採取した組織を顕微鏡で詳しく調べる検査です。

この検査によって、以下の項目を評価することができます。

  • 腫瘍細胞の種類
  • 悪性度(細胞の形態や増殖の程度)
  • 周囲組織への浸潤(しんじゅん:周囲への広がり)の有無

これらを総合的に判断し、良性・悪性の判定と、悪性の場合の転移リスクを評価して治療方針を考えます。

黒色腫の治療

黒色腫の治療として第一選択となるのは外科的切除です。
良性であれば切除のみで治癒が期待できますが、悪性の場合は追加治療が必要になることもあります。

一般的な治療方針は以下の通りです。

良性黒色腫の場合

適切なマージン(安全域)を確保して、広い範囲で切除することで治癒が期待できます。
ただし、良性であっても複数箇所に発生する可能性があるため、術後も定期的な経過観察が必要です。

悪性黒色腫の場合

適切なマージン(安全域)を確保した切除が基本となります。
切除後に放射線療法や化学療法などの追加治療を検討します。

転移のリスクが高いため、全身のレントゲン検査や超音波検査などで転移の有無の確認や、より慎重な経過観察が求められます。

実際の症例

今回紹介する症例は、6歳の去勢済み雄の柴犬です。

トリミングサロンでトリミングを受けた際に、トリマーから「右体側の皮膚に黒いシミのようなものがある」と指摘を受け、飼い主様が心配になって後日当院を受診されました。
当院で確認したところ、右体側の皮膚に直径1.2cm程度の黒色の病変が認められました。
触診ではしこりなどは確認されず、境界は比較的明瞭でした。
見た目だけでは良性か悪性かの判断は困難であるため、飼い主様と相談の上、切除生検を実施することになりました。

以下が実際の病変部の写真です。
適切なマージンを確保するため、切除予定部位をこのようにマークし、計画的に手術に臨みます。

黒色腫の手術前の様子

麻酔下で病変部とその周囲の正常な皮膚を含めて切除し、採取した組織を病理組織検査に提出しました。

病理組織検査の結果、メラニン細胞に由来する腫瘍であり、良性の黒色腫と診断されました。
また、病理組織検査上でも「切除した標本上でマージンは確保されている」ことが報告されており、腫瘍は完全に切除できたと判断しました。

現在、術後の経過は良好で、傷も順調に治癒しています。
飼い主様には今後も定期的な健康診断と皮膚のチェックを継続していただく予定です。

まとめ

今回は黒色腫について、実際の柴犬の症例を通じて解説しました。

黒色腫は皮膚のメラニン細胞が腫瘍化したもので、約85%は良性です。
しかし、見た目だけでは良性・悪性の判断ができないため、病理組織学的検査を含めた適切な診断と治療が重要になります。

今回のケースのようにトリミングサロンでの指摘がきっかけで早期発見につながることも少なくありません。
気になる変化を見つけた際は「良性が多いから様子を見よう」と安易に考えず、早めに受診することをおすすめします。

当院では皮膚腫瘍の診断・治療から病理組織検査まで一貫して対応しております。
気になる病変やシミを見つけた際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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