近年、猫の腫瘍の中でも増加傾向にあるのが乳腺腫瘍です。
猫の乳腺腫瘍は犬と異なり、80〜90%が悪性(乳腺癌)と言われています。
乳腺癌は進行も早く、早期発見と早期治療がとても重要です。
今回は、そんな乳腺腫瘍における抗がん剤の位置づけについて解説します。
抗がん剤治療のメリットデメリット、治療の際の注意事項にに焦点を当てた内容です。
このコラムを読んで、猫の乳腺にどんな治療があるのか一緒に考えていきましょう。
| 📍 目次 ▼ 猫の乳腺腫瘍に抗がん剤は必要なのか? ▼ 猫の乳腺腫瘍治療の基本は外科手術 ▼ 抗がん剤を検討するケース ▼ 実際に使われる抗がん剤 ▼ 抗がん剤の効果について ▼ 抗がん剤を使わない判断をするケース ▼ まとめ |
猫の乳腺腫瘍に抗がん剤は必要なのか?

猫の乳腺腫瘍では、抗がん剤は選択肢のひとつではありますが、第一選択ではありません。
抗がん剤が第一選択ではない理由は、猫の乳腺腫瘍には
- 腫瘍の悪性度が高く、転移しやすい
- 抗がん剤単独で劇的な効果が得られない
- 治療の中心はあくまで外科手術である
という特徴があるためです。
猫の乳腺腫瘍治療の基本は外科手術
猫の乳腺腫瘍において治療の中心となるのは外科手術です。
これは、猫の乳腺腫瘍の多くが悪性で進行が早く、局所での制御が予後に大きく影響するためです。
外科手術では腫瘍そのものだけでなく、乳腺を広範囲に切除することで、局所再発や転移のリスクをできる限り下げることを目的とします。
特に早期に発見された場合には、手術によって長期的なコントロールが期待できるケースもあります。
抗がん剤を検討するケース

猫の乳腺腫瘍において、治療の第一選択はあくまで外科手術です。
可能な限り腫瘍を外科的に切除することが予後を左右します。
一方で、腫瘍の性質や進行度によっては、外科手術だけでは十分な制御が難しい場合もあります。
以下に抗がん剤治療が適応となるケースをまとめました。
病理検査で高悪性度(グレードが高い)と診断された場
乳腺腫瘍での抗がん剤は、腫瘍細胞の分裂が盛んで再発・転移のリスクが高いと判断されるケースで使われます。
悪性度が高い場合、手術後の補助療法(アジュバント療法)として抗がん剤を使うことがあります。
リンパ節転移がある場合
乳腺癌では、リンパ節にすでに腫瘍細胞が到達していることも少なくありません。
リンパ節転移がある場合は手術だけでは制御しきれない可能性があるため、抗がん剤による全身治療を検討します。
すでに肺転移など遠隔転移が確認されている場合
根治が難しい乳腺腫瘍にも抗がん剤治療を行う場合があります。
腫瘍の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を保つことを目的とした治療です。
手術ができない場合の代替治療
以下の状態に当てはまり、手術が行えない場合に抗がん剤を使うことがあります。
- 心疾患
- 麻酔リスク
- 重度肥満
- 高齢
手術が難しい状況では、抗がん剤が負担の少ない選択肢となることがあります。
猫の状態に合わせて最適な治療を検討することが大切です。
実際に使われる抗がん剤
猫の乳腺腫瘍で比較的使用される薬剤には以下があります。
- ドキソルビシン
- カルボプラチン
- パクリタキセル
- シクロホスファミド
このように、猫の乳腺癌に使用する抗がん剤はいくつか種類があります。
猫の場合は効果に限界があるため、ほかの治療と組み合わせながらその子に合った方法を選んでいくことが重要です。
抗がん剤の効果について

猫の乳腺腫瘍に対する抗がん剤治療のメリットとデメリットには以下があります。
メリット
猫の乳腺癌で抗がん剤を使用する場合、次のようなメリットがあります。
- 目に見えない転移の抑制が期待できる
- 再発までの期間を延ばせる可能性がある
- 腫瘍の進行を遅らせ、生活の質を保てる
これらのメリットは、特に再発リスクが高い症例で治療の支えとなることがありますね。
デメリット
抗がん剤には、治療の助けになる可能性がある一方で、注意すべき点も存在します。
メリットだけでなく、抗がん剤には限界や負担があることも理解しておく必要があります。
以下に挙げるものが、抗がん剤のデメリットです。
- 劇的に腫瘍が小さくなる治療ではない
- 副作用(嘔吐・食欲低下・脱毛は少ないが倦怠感など)が出ることがある
- 通院頻度・費用の負担がある
- 猫は抗がん剤への感受性が犬より強く、副作用が出やすいことがある
このように、猫の乳腺腫瘍に対する抗がん剤治療には様々なメリットとデメリットがあります。
そのため、動物病院では 「抗がん剤は万能治療ではないが、症例により有効なケースがある」 というスタンスで用いられています。
抗がん剤を使わない判断をするケース
次のような場合は、抗がん剤を敢えて行わない選択をすることもあります。
- 腫瘍が非常に小さく、切除縁が十分確保できた
- 低悪性度の乳腺腫瘍と診断された
- 高齢・基礎疾患などで副作用のリスクが高い
抗がん剤は「使うべき症例に適切に使う」治療であり、全ての猫に適応ではないという点にも注意が必要です。
まとめ
今回は 猫の乳腺腫瘍と抗がん剤の使用について解説しました。
猫の乳腺腫瘍は局所での制御が予後に大きく影響するため、外科手術が治療の中心です。
抗がん剤は高悪性度や転移が疑われる場合、あるいは手術が難しい状況では重要な選択肢となることがあります。
ただし、猫では抗がん剤単独で強い効果を期待できる腫瘍ではありません。
薬の特性を理解しながら、その子の体調や生活の質(QOL)を優先した治療計画を立てることが大切ですね。治療方針に迷うときは、早めにご来院いただくことで、愛猫に合った最適な治療を一緒に検討できます。
治療が必要かどうかといった判断も含め、愛猫にとって無理のない治療をご提案しますので、どうぞ安心してご相談ください。
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